フォントのアウトライン化忘れトラブル|対策と確認方法
更新日: 2026年2月8日 / カテゴリ: トラブルシューティング
印刷物が届いたら「文字が別のフォントに置き換わっている」という経験はありませんか?
この記事では、フォントのアウトライン化忘れによるトラブルの原因と、Illustratorでの正しいアウトライン化手順を解説します。
アウトライン化が必要な理由
印刷データを入稿する際、フォントの「アウトライン化」は必須の作業です。では、なぜアウトライン化が求められるのでしょうか。
フォントはパソコンごとに異なる
デザインで使用したフォントは、あなたのパソコンにインストールされているものです。印刷会社のパソコンに同じフォントがインストールされていなければ、そのフォントを正しく表示できません。
テキストデータをパス(図形)に変換する処理のことです。アウトライン化すると、フォント情報に依存しなくなり、どのパソコンで開いても同じ見た目で表示・印刷できます。
フォントの埋め込みとの違い
PDFにはフォントを「埋め込む」という方法もありますが、印刷入稿ではアウトライン化が推奨されます。
- フォント埋め込み:PDFファイル内にフォントデータを含める方法。ライセンスによっては埋め込みが制限される場合がある
- アウトライン化:文字を図形に変換する方法。フォントのライセンスに関係なく、確実に同じ見た目を再現できる
Illustratorのデータ(.ai)で入稿する場合は、アウトライン化が基本です。PDF入稿でも、トラブルを避けるためにアウトライン化しておくと安心です。
アウトライン化忘れで起こる問題
フォントのアウトライン化を忘れたまま入稿すると、次のような問題が発生します。
問題1:フォントが別の書体に置き換わる
印刷会社のパソコンに同じフォントがない場合、システムが自動的に代替フォントに置き換えます。デザインのイメージが大きく変わってしまう原因となります。
アウトライン化なし
デザイン通りの書体で印刷されない
別のフォントに置き換わる
アウトライン化あり
デザイン通りの書体で印刷される
どの環境でも同じ見た目
問題2:レイアウトが崩れる
代替フォントは元のフォントと文字幅や高さが異なることが多く、文字が枠からはみ出したり、行が増えてレイアウトが崩れたりします。
問題3:文字化けが発生する
特殊なフォントや外字を使用している場合、対応する文字がなく、文字化け(□や?で表示)が発生することがあります。
問題4:納期が遅れる
印刷会社がフォントの問題に気づいた場合、データの修正・再入稿が必要となり、納品が遅れる可能性があります。
「自分のパソコンでは正しく表示されていたから大丈夫」と思い込み、確認せずに入稿してしまうケースが多くあります。必ず入稿前にアウトライン化を完了させてください。
Illustratorでのアウトライン化方法
Illustratorでフォントをアウトライン化する手順を解説します。操作は簡単ですので、入稿前のルーティンとして覚えておきましょう。
方法1:選択してアウトライン化(推奨)
すべてのオブジェクトを選択
キーボードショートカットですべてのオブジェクトを選択します。
Ctrl + A(Mac: Cmd + A)
※ロックされたオブジェクトは選択されません。事前にロックを解除してください。
「アウトラインを作成」を実行
メニューから「アウトラインを作成」を選択します。
ショートカット:Ctrl + Shift + O(Mac: Cmd + Shift + O)
完了を確認
テキストが図形(パス)に変換されたことを確認します。選択すると、文字の輪郭にアンカーポイントが表示されます。
方法2:複数のレイヤーがある場合
複数のレイヤーにテキストがある場合や、ロックされたオブジェクトがある場合は、以下の手順で確実にアウトライン化できます。
- すべてのレイヤーを表示:レイヤーパネルで非表示レイヤーを表示
- すべてのロックを解除:メニュー「オブジェクト」→「すべてをロック解除」
- すべてを選択:Ctrl + A
- アウトラインを作成:Ctrl + Shift + O
すべてのテキストがパスに変換され、フォント情報に依存しないデータになりました。
アウトライン化の確認方法
アウトライン化が正しく完了したかどうか、入稿前に必ず確認しましょう。Illustratorには便利な確認機能があります。
「フォントの検索」で確認する
ドキュメント内に残っているフォントを一覧表示する機能です。アウトライン化が完了していれば、フォントは表示されません。
「フォントの検索」を開く
フォント一覧を確認
「ドキュメントのフォント」欄を確認します。
- フォントが表示されない:アウトライン化完了
- フォントが表示される:アウトライン化されていないテキストが残っている
表示されたフォントを選択して「検索」をクリックすると、そのフォントを使用しているオブジェクトがハイライト表示されます。該当のテキストを選択してアウトライン化してください。
見落としやすいフォントの場所
以下の場所にテキストが隠れていることがあります。確認時に注意してください。
- 非表示レイヤー:レイヤーパネルで目のアイコンがオフになっている
- ロックされたオブジェクト:ロックを解除しないと選択できない
- クリッピングマスク内:マスクで隠れた部分にテキストがある
- アートボード外:印刷範囲外にメモ用のテキストがある
- 孤立点:削除し忘れた空のテキストオブジェクト
入稿前チェックリスト
- すべてのレイヤーを表示した
- すべてのロックを解除した
- 「アウトラインを作成」を実行した
- 「フォントの検索」でフォントが0件であることを確認した
テキストの編集前にコピー保存
アウトライン化すると、テキストとしての編集ができなくなります。後から文字を修正する可能性に備えて、アウトライン化前のファイルを必ず保存しておきましょう。
ファイル管理のコツ
効率的なファイル管理の方法を紹介します。
- 編集用ファイル:テキスト編集が可能な状態のファイル(例:design_edit.ai)
- 入稿用ファイル:アウトライン化済みのファイル(例:design_outline.ai)
チラシA4_編集用.ai- テキスト編集可能チラシA4_入稿用_outline.ai- アウトライン化済み
修正が発生した場合の対処法
入稿後に修正が必要になった場合は、以下の手順で対応します。
- 編集用ファイル(アウトライン化前)を開く
- テキストを修正する
- 「別名で保存」で入稿用ファイルを作成
- 入稿用ファイルをアウトライン化する
- 再入稿する
入稿用ファイル(アウトライン化済み)を上書き保存してしまうと、編集用ファイルも失われる可能性があります。必ず「別名で保存」を使用してください。
まとめ
フォントのアウトライン化忘れは、印刷トラブルの原因として多く発生しています。入稿前に以下のポイントを確認しましょう。
- アウトライン化は、フォントの置き換えや文字化けを防ぐために必須
- Illustratorでは「書式」→「アウトラインを作成」で実行
- 「フォントの検索」でフォントが表示されなければ完了
- 非表示レイヤーやロックされたオブジェクトも忘れずにチェック
- アウトライン化前のファイルを必ず保存しておく