印刷データを作成する際、最も重要なポイントの一つが「カラーモード」です。画面で見た色と印刷物の色が違う、という経験をした方は多いのではないでしょうか。本記事では、RGB・CMYKの基本的な違いから、印刷データ作成時の具体的な設定方法まで、実務に基づいて詳しく解説します。
RGB・CMYKの違いと印刷データ作成の注意点
1. RGBとCMYKの基本的な違い
RGBとCMYKは、色を表現する仕組みが根本的に異なります。RGBは、Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)の光の三原色を組み合わせて色を作る方式です。光を混ぜるほど明るくなる「加法混色」と呼ばれ、パソコンやスマートフォンのディスプレイで使用されます。
一方、CMYKは、Cyan(シアン)・Magenta(マゼンタ)・Yellow(イエロー)・Key plate(黒)のインクを組み合わせて色を作る方式です。インクを重ねるほど暗くなる「減法混色」で、印刷物の色表現に使われます。
RGBは約1677万色を表現できるのに対し、CMYKは表現できる色の範囲が狭くなります。特に鮮やかな青や緑、蛍光色などは、CMYKでは再現が難しい色です。このため、画面で見た鮮やかな色が印刷するとくすんで見える現象が起こります。
印刷データは必ずCMYKモードで作成することが基本です。RGBデータを入稿すると、印刷会社側で自動的にCMYKに変換されますが、意図しない色に変わるリスクがあります。カラーモードでお困りの方はこちらでご相談ください。
2. 印刷時に色が変わる理由
画面で見た色と印刷物の色が違う主な理由は、表示デバイスと印刷方式の違いにあります。ディスプレイは自ら光を発して色を表現するため、鮮やかで明るい色を表示できます。一方、印刷物はインクが紙に反射した光で色を認識するため、ディスプレイよりもくすんで見えます。
さらに、ディスプレイの明るさや色設定によっても見え方が変わります。同じデータでも、使用するモニターが異なれば色の見え方は変わるのです。印刷業界ではカラーマネジメントモニターを使用して色を管理していますが、一般的なモニターでは正確な色再現は困難です。
用紙の種類も色の見え方に影響します。白色度の高いコート紙は色が鮮やかに見えますが、クリーム色の上質紙では全体的に黄みがかって見えます。印刷用紙の選び方については、用紙の選び方ガイドで詳しく解説しています。
印刷方式による色の違いもあります。オフセット印刷とオンデマンド印刷では、同じCMYKデータでも微妙に色味が異なります。重要な案件では、色校正を依頼して実際の印刷色を確認することをおすすめします。
3. データ作成時の注意点
印刷データを作成する際は、最初からCMYKモードで作業を始めることが理想です。途中でRGBからCMYKに変換すると、色が大きく変わってしまい、デザインの調整に手間がかかります。
特に注意が必要なのは、Webから取得した画像やスマートフォンで撮影した写真です。これらはほぼ確実にRGBモードなので、印刷データに配置する前にCMYKに変換する必要があります。変換後は必ず色味を確認し、必要に応じて色調補正を行いましょう。
黒色の表現にも注意が必要です。単純な黒(K100%)はリッチブラックと呼ばれる黒(C40% M40% Y40% K100%など)に比べて薄く見えます。背景や大きな文字には4色を混ぜたリッチブラックを、小さな文字には単色の黒を使い分けるのが一般的です。
総インキ量(TAC値)も重要なポイントです。CMYKの合計値が高すぎると、インクが乾きにくく裏移りの原因になります。一般的には300%以下に抑えることが推奨されています。Adobe製品では自動で制限できる設定があるので活用しましょう。
4. Photoshopでの変換方法
PhotoshopでRGB画像をCMYKに変換する手順を説明します。まず、「イメージ」メニューから「モード」を選択し、「CMYKカラー」をクリックします。これで基本的な変換は完了ですが、色味が変わるため必ず確認が必要です。
より正確な色変換を行うには、カラー設定を適切に行います。「編集」メニューから「カラー設定」を開き、CMYKの作業用スペースを「Japan Color 2001 Coated」に設定します。これは日本の印刷標準規格で、多くの印刷会社が推奨しています。
変換後の色調整には、「色相・彩度」や「トーンカーブ」を使用します。特に鮮やかな色が多い画像は、CMYKで表現できる範囲内に収めるため、彩度を若干下げる調整が必要になることがあります。
保存時の注意点として、JPEG形式で保存する場合は必ず「画質:最高(12)」を選択してください。画質を下げると色味が変わる可能性があります。PSD形式で保存すれば画質劣化の心配がなく、印刷会社への入稿にも適しています。
5. Illustratorでの設定方法
Illustratorで新規ドキュメントを作成する際は、「カラーモード」を必ず「CMYK」に設定します。後から変更もできますが、最初から正しいモードで作業することで色の変化を最小限に抑えられます。
既存のRGBドキュメントをCMYKに変換する場合は、「ファイル」メニューから「ドキュメントのカラーモード」を選び、「CMYKカラー」をクリックします。配置した画像がRGBの場合、画像自体は自動変換されないため、Photoshopで個別に変換する必要があります。
Illustratorでよくあるミスが、オブジェクトのカラーモード混在です。ドキュメント全体はCMYKでも、一部のオブジェクトだけRGBになっている場合があります。「ウィンドウ」メニューの「分離プレビュー」機能を使うと、RGBオブジェクトを視覚的に確認できます。
特色(スポットカラー)を使用する場合は、印刷会社に事前確認が必要です。特色はCMYKとは別の専用インクで印刷するため、対応していない印刷会社もあります。通常の4色印刷の場合は、特色をCMYKに変換してから入稿しましょう。
PDF保存時は「PDF/X-1a」または「PDF/X-4」形式を選択すると、印刷に適した設定で保存できます。この形式ではRGBデータが自動的にCMYKに変換されるため、入稿ミスを防げます。データ不備を防ぐチェックリストも合わせてご確認ください。
まとめ
RGB・CMYKの違いとして、光の三原色とインクの三原色という根本的な色の作り方の違い、印刷時に色が変わる理由、データ作成時の注意点、そしてPhotoshopとIllustratorでの具体的な設定方法を解説しました。
印刷データは必ずCMYKモードで作成し、配置する画像も事前にCMYK変換しておくことが重要です。色校正を活用すれば、印刷前に実際の色味を確認できるため、重要な印刷物では積極的に利用しましょう。正しいカラーモードで作成することで、イメージ通りの美しい印刷物を実現できます。
カラーモードでお困りの方へ
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