印刷物を受け取ったとき、表面と裏面の位置がずれていたり、断裁線がわずかにずれていたりすることがあります。このような「印刷のズレ」は、印刷工程で避けられない現象であり、専門用語では「見当ズレ」と呼ばれます。完全になくすことは難しいものの、原因を理解してデザインに配慮することで、影響を最小限に抑えられます。

印刷ズレ(見当ズレ)とは

見当ズレとは、印刷時に発生する位置のずれを指します。オフセット印刷ではCMYKの4色を順番に重ねて刷りますが、この重ね合わせの精度にはわずかな誤差が生じます。また、印刷後の断裁工程でも、カッターの刃と紙の位置関係によって±0.5〜2mm程度のズレが発生します。

ズレが起こる要因は複数あります。印刷機の精度、用紙の伸縮、作業場の温度・湿度などが影響します。大判サイズの印刷物や厚手の用紙では、特にズレが大きくなりやすい傾向があります。どんなに高精度の機械を使っても完全にゼロにすることはできないため、一定の範囲内であれば通常の仕上がりとして扱われます。

両面印刷での表裏ズレ

両面印刷では、表面と裏面の印刷位置がずれる「表裏ズレ」がよく見られます。表面を刷った後に用紙を反転させて裏面を刷る際、紙の位置がわずかにずれたり、用紙自体が湿気で伸縮したりすることが原因です。

特に気をつけたいのが、表裏で同じ位置に罫線や枠を配置するデザインです。例えば、表と裏の両方に端から5mmの位置に線を引くと、表裏ズレによって線の位置がずれて見えます。チラシのような両面印刷物では、この点を考慮したデザインにすると仕上がりが安定します。

許容範囲(±1-2mm)の理解

印刷業界では、見当ズレの許容範囲は±1〜2mm程度とされています。この範囲内のズレは、印刷の技術的な性質として扱われ、不良品にはなりません。高精度の印刷機でも±0.5〜1mm程度のズレは起こり得ます。

この許容範囲を知らないと、「ズレている」と感じてしまうかもしれません。しかし、これは技術的な限界であり、完全に合わせることは現実的ではありません。デザインを作る段階で、この許容範囲を前提とした設計をすることが、トラブルを防ぐ鍵です。濃淡ムラと同様に、印刷の特性を理解しておくと対処しやすくなります。

デザインでの配慮(重要情報を中央に)

見当ズレや断裁ズレの影響を抑えるには、デザイン段階での工夫が効果的です。最も有効な対策は、文字や画像などの主要な要素を用紙の中央寄りに配置することです。仕上がり線から5mm以上内側に収めることで、断裁ズレによって切れてしまうリスクを減らせます。

表面と裏面で厳密に位置を合わせる必要があるデザインは、できれば避けるのが無難です。どうしても位置を揃えたい場合は、多少ずれても目立たないようにデザインに余裕を持たせましょう。背景を全面に広げて塗り足しを設けることで、断裁ズレによる白い紙の露出も防げます。

印刷精度の高い方式選び

印刷方式によって、見当ズレの発生しやすさは異なります。オフセット印刷は高精度で見当ズレが少ない傾向がありますが、版を作成するため初期コストがかかります。オンデマンド印刷は小ロットに向いていますが、表裏ズレがオフセットより大きくなることがあります。

両面印刷で表裏の位置精度を求める場合は、オフセット印刷がおすすめです。版を使って刷るため位置精度が高く、表裏ズレを±1mm以内に抑えることができます。一方、名刺やポストカードなど位置精度がそれほど必要でない印刷物であれば、オンデマンド印刷でも十分な品質が得られます。

まとめ

印刷のズレ(見当ズレ)は、色版の重ね合わせや断裁工程で発生する避けられない現象で、許容範囲は±1〜2mmです。両面印刷では表裏ズレが生じやすいため、デザイン段階での配慮が求められます。

主要な情報は用紙の中央寄りに配置し、仕上がり線から5mm以上の内側余白を確保しましょう。印刷精度を求める場合はオフセット印刷を選ぶのが有効です。アイリィデザインでは、高精度な印刷技術でズレを最小限に抑え、満足いただける仕上がりをお届けします。