エンボス加工とは(凸凹加工)
エンボス加工とは、紙に凹凸をつけて立体感を出す加工技術です。金属製の凸版(雄型)と凹版(雌型)で紙を挟み込み、圧力をかけることで紙の表面に浮き上がりを作ります。この加工によって、ロゴや文字、模様などが紙面から飛び出したような立体的な仕上がりになります。
エンボス加工には「浮き出し加工」と「空押し加工」の2種類があります。浮き出し加工は紙の表面を盛り上げる方法で、指で触れると明確な凸を感じられます。一方、空押し加工は紙の表面を押し込む方法で、凹んだ部分が陰影を生み出し、落ち着いた印象を与えます。どちらを選ぶかで、名刺全体の雰囲気が大きく変わります。
エンボス加工は印刷とは異なり、インクを使わない物理的な加工です。そのため、白い紙に白いロゴをエンボスで浮き上がらせるといった、印刷では表現できないデザインも可能になります。光の当たり方によって見え方が変化し、手に取った人に「おっ」と思わせる驚きを与えられます。
視覚と触覚で印象を強化
人は情報の約80%を視覚から得ているといわれますが、触覚から得る情報は記憶への定着率が高いという特徴があります。エンボス加工名刺は、この視覚と触覚の両方に訴えかけることで、受け取った人の記憶に残りやすくなります。
名刺交換の場面を想像してみてください。通常の名刺は受け取った瞬間に視覚情報として処理され、すぐに名刺入れにしまわれます。しかし、エンボス加工が施された名刺は、指先に感じる凸凹が脳に追加の刺激を与えます。「あれ、何か違う」と思わず指でなぞってしまう。その数秒間の触覚体験が、名刺の持ち主への関心を高めるのです。
また、エンボス加工は「高級感」「こだわり」「丁寧さ」といったポジティブな印象を与えます。名刺にわざわざ手間とコストをかけているということは、仕事にも同じ姿勢で取り組んでいるのだろうという連想が働きます。特に、デザイン事務所、建築事務所、ブランディング会社など、センスや品質へのこだわりを売りにする企業にとって、エンボス加工名刺は自社の価値観を体現するツールとなります。
デザインの注意点(細かすぎるとNG)
エンボス加工をデザインする際、最も注意すべき点は「細かすぎるデザインは再現できない」ということです。エンボスは金属の型で紙を押し込む物理的な加工のため、あまりに細い線や小さな文字は潰れてしまい、きれいに浮き上がりません。
具体的には、線の太さは最低でも0.5mm以上、文字サイズは8ポイント以上を確保することをおすすめします。ロゴをエンボス加工する場合は、細部を簡略化したバージョンを用意しておくと安心です。繊細なグラデーションや微細なパターンは、エンボス加工には不向きと考えてください。
エンボス加工の範囲も検討が必要です。名刺全面にエンボスを施すことも技術的には可能ですが、広すぎる範囲を浮き上がらせると、紙が波打ったり、全体的にボコボコした印象になったりします。ロゴや社名など、アクセントとして見せたい部分にポイント使いするのが効果的です。
印刷との組み合わせも考慮しましょう。エンボス加工と印刷を重ねる場合は、位置合わせにズレが生じる可能性があります。完全に一致させる精密な位置合わせを求めるなら、印刷会社と事前に相談し、可能な精度を確認しておくことが大切です。箔押し加工と組み合わせれば、さらに豪華な仕上がりになります。
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用紙の選び方(厚みが必要)
エンボス加工を美しく仕上げるには、用紙選びが極めて大切です。エンボスは紙に物理的な凹凸をつける加工なので、薄い紙では凸凹がはっきり出ず、場合によっては紙が破れてしまうこともあります。
エンボス加工に適した用紙の厚みは、最低でも180kg(四六判換算)以上、理想的には220kg以上です。一般的な名刺の厚みが180kg前後であることを考えると、エンボス加工名刺には通常よりやや厚めの用紙を選ぶのがベストです。厚い紙ほど凸凹がくっきりと出て、手に持ったときの高級感も増します。
用紙の種類も仕上がりに影響します。コート紙やマットコート紙は表面がツルツルしているため、エンボスの凹凸が際立ちやすく、シャープな印象になります。一方、上質紙やケント紙のような非塗工紙は、柔らかく温かみのある凹凸に仕上がります。コットン紙やファンシーペーパーなど、もともと紙肌にテクスチャがある用紙を選ぶと、エンボスとの相乗効果で独特の風合いが生まれます。
色付きの用紙も選択肢に入れてみてください。濃い色の紙にエンボス加工を施すと、光の当たり方で陰影がはっきり見え、インク不要でデザインを表現できます。黒い紙に黒のロゴをエンボスで浮き上がらせるデザインは、シンプルでありながら存在感を放ちます。
コストと最小ロット数
エンボス加工名刺は通常の印刷名刺に比べてコストが高くなります。これは、専用の金属型(版)を作成する必要があるためです。型の製作費用は、デザインの複雑さやサイズによって異なりますが、一般的なロゴサイズで1〜3万円程度が目安となります。
一度型を作成すれば、追加注文時には型代がかからないため、長期的に同じデザインを使い続ける場合はコストパフォーマンスが向上します。会社設立時に型を作っておけば、その後何年も活用できるわけです。名刺のリニューアル時にデザインを変更すると新たに型を作る必要があるため、長く使えるデザインを最初に決めておくことをおすすめします。
最小ロット数は印刷会社によって異なりますが、一般的に100枚から対応しているところが多いです。ただし、エンボス加工の場合は型代の関係で、少量だと1枚あたりの単価が高くなりがちです。200〜300枚程度まとめて発注すると、単価を抑えられます。
名刺印刷の料金に加えて、エンボス加工費と型代が上乗せされます。総額としては、通常の名刺と比べて2〜3倍程度になることが多いですが、受け取った人への印象は価格以上の価値があります。ビジネスの第一印象に投資すると考えれば、検討に値するオプションです。
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まとめ
エンボス加工名刺は、紙に凸凹をつけることで視覚と触覚の両面から相手に訴えかける、記憶に残る名刺です。浮き出し加工と空押し加工の2種類があり、それぞれ異なる雰囲気を演出できます。
デザインの際は、線幅0.5mm以上、文字サイズ8ポイント以上を目安に、細かすぎるデザインを避けることがポイントです。用紙は180kg以上の厚みがあるものを選び、紙質によってシャープな仕上がりにも柔らかい風合いにも調整できます。
コスト面では型代が必要となるため初期費用は高くなりますが、同じデザインで継続発注すれば型代は初回のみで済みます。最小ロット100枚程度から対応可能で、200〜300枚まとめて発注すると単価を抑えられます。
名刺は自分の代わりに相手の手元に残る唯一のビジネスツールです。触って感じる凸凹が、「この人は違う」という印象を相手に刻み込みます。第一印象で差をつけたい方は、ぜひエンボス加工名刺を検討してみてください。
この記事のポイント
- エンボス加工は紙に凸凹をつける物理的な加工で、視覚と触覚の両方に訴求する
- 細かすぎるデザインは再現不可、線幅0.5mm以上・文字8ポイント以上が目安
- 用紙は180kg以上の厚みが必須、220kg以上が理想的
- 型代として1〜3万円程度の初期費用が発生するが、同じデザインなら再利用可能
- 最小ロットは100枚程度、200〜300枚まとめ発注で単価を抑制