トンボと塗り足しの設定方法|印刷入稿データの基本【Illustrator/Photoshop】
更新日: 2026年2月7日 / カテゴリ: テクニカルガイド
印刷会社に入稿する際、必ず必要になる「トンボ」と「塗り足し」。
この記事では、なぜトンボと塗り足しが必要なのか、そしてIllustrator・Photoshopでの具体的な設定方法を図解で分かりやすく解説します。
失敗例も紹介しますので、入稿前の最終チェックにお役立てください。
この記事の目次
1. トンボ(トリムマーク)とは?
トンボとは、印刷物の仕上がり位置(断裁位置)を示す目印のことです。印刷後に大きな用紙から製品サイズに裁断する際、この目印を基準にカットします。
形が昆虫のトンボに似ていることから「トンボ」と呼ばれています。英語では「Trim Mark(トリムマーク)」「Crop Mark(クロップマーク)」とも呼ばれます。
トンボの種類と役割
トンボと塗り足しの構造図
重要な要素は
ここに配置
コーナートンボ(角トンボ)
四隅に配置されるL字型のマークです。内側の線が仕上がり線(断裁位置)、外側の線が塗り足しの終端を示します。内トンボと外トンボの間隔が3mmになっています。
センタートンボ(十字トンボ)
上下左右の中央に配置される十字型のマークです。主に位置合わせや折り位置の基準として使用されます。多色刷りの場合は色の重なり(見当)を確認するためにも使われます。
2. 塗り足しとは?なぜ3mm必要なのか
塗り足し(裁ち落とし・ドブ・ブリード)とは、仕上がり線の外側に設ける余白領域のことです。
塗り足しが必要な理由
印刷物は大きな用紙にまとめて印刷した後、断裁機でカットして仕上げます。この断裁時に0.5mm〜1mm程度のズレが発生することがあります。
もし塗り足しがない状態で断裁がズレると、端に白い線(紙の地色)が出てしまいます。これを防ぐために、あらかじめ仕上がり線より外側までデザインを伸ばしておく必要があるのです。
塗り足しなし
断裁がズレると端に白い線(白フチ)が出てしまい、見栄えが悪くなります
塗り足し3mm
断裁がズレても白フチが出ないきれいな仕上がりになります
- 塗り足しは通常上下左右に各3mm
- 背景色や写真は塗り足し部分まで伸ばす
- 文字や重要な要素は仕上がり線より3mm以上内側に配置
- 塗り足し込みのデータサイズ = 仕上がりサイズ + 6mm(左右3mm + 上下3mm)
主要サイズの塗り足し込み寸法一覧
| サイズ名 | 仕上がりサイズ | 塗り足し込みサイズ |
|---|---|---|
| A3 | 297 x 420 mm | 303 x 426 mm |
| A4 | 210 x 297 mm | 216 x 303 mm |
| A5 | 148 x 210 mm | 154 x 216 mm |
| A6 | 105 x 148 mm | 111 x 154 mm |
| B4 | 257 x 364 mm | 263 x 370 mm |
| B5 | 182 x 257 mm | 188 x 263 mm |
| はがき | 100 x 148 mm | 106 x 154 mm |
| 名刺 | 91 x 55 mm | 97 x 61 mm |
| CDジャケット | 120 x 120 mm | 126 x 126 mm |
3. Illustratorでのトンボ作成方法
Adobe Illustratorでトンボ(トリムマーク)を作成する方法を、手順を追って解説します。
方法1:トリムマークを作成(推奨)
仕上がりサイズの長方形を作成
長方形ツールを選択し、アートボード上でクリック。表示されるダイアログに仕上がりサイズを入力します。
例:A4サイズなら 幅210mm x 高さ297mm
この長方形は「塗り」と「線」を両方とも「なし」に設定してください。色がついているとそのまま印刷されてしまいます。
長方形を選択する
作成した長方形を選択ツール(V)で選択します。
トリムマークを作成
メニューから以下を選択します。
これで自動的にトンボが作成されます。内トンボと外トンボの間隔は3mmになっています。
仕上がり線をガイドに変換
元の長方形を選択し、右クリックで「ガイドを作成」を選択。仕上がり線がガイドとして表示され、デザイン時の目安になります。
作成したトンボは絶対に拡大・縮小しないでください。トンボの寸法が変わると正確な断裁ができなくなります。
方法2:新規ドキュメントで裁ち落としを設定
新規ドキュメント作成時に塗り足しを設定する方法もあります。
新規ドキュメントを作成
裁ち落としを設定
「詳細設定」または「詳細オプション」を開き、「裁ち落とし」を天地左右すべて3mmに設定します。
これでアートボードの外側に赤い線で塗り足し領域が表示されます。
PDF書き出し時に「トンボと裁ち落とし」設定で「トリムマーク」にチェックを入れると、トンボ付きのPDFが作成できます。「すべてのプリンターズマーク」を選択すると、センタートンボも含まれます。
4. Photoshopでの塗り足し設定
Photoshopには「トンボ作成」機能がありません。そのため、塗り足しを含めたサイズでカンバスを作成する必要があります。
塗り足し込みサイズで新規作成
新規ドキュメント作成時に、仕上がりサイズ + 6mmのサイズを指定します。
例:A4(210 x 297mm)の場合
カンバスサイズ:216mm x 303mm
印刷用データは300〜350dpiで作成してください。Web用の72dpiでは印刷時に画質が粗くなります。
仕上がり線をガイドで設定
上下左右から3mmの位置にガイドを配置して、仕上がり線を示します。
具体的には以下の位置にガイドを設定します。
- 左から3mm(縦ガイド)
- 右から3mm(縦ガイド)→ 213mm の位置
- 上から3mm(横ガイド)
- 下から3mm(横ガイド)→ 300mm の位置
デザインを作成
- 背景色・背景写真はカンバスの端(塗り足し領域)まで伸ばす
- 文字や重要な要素はガイドより3mm以上内側に配置
Photoshopで作成したデータは、入稿時に「塗り足し3mm含む」と明記しておくと、印刷会社での確認がスムーズです。ファイル名に「_nuritashi3mm」などと入れておくのもおすすめです。
5. トンボ・塗り足しなしだとどうなる?(失敗例)
トンボや塗り足しが正しく設定されていないと、以下のような問題が発生します。
失敗例1:白フチが出てしまう
塗り足しがない状態で断裁がズレると、端に紙の地色(白)が見えてしまいます。特に背景がベタ塗りや写真の場合は目立ちます。
白い枠線が不均等に残り、見栄えが悪くなります
対策:背景は仕上がり線より外側(塗り足し領域)まで必ず伸ばしましょう。
失敗例2:文字が切れてしまう
文字や重要な要素を仕上がり線ギリギリに配置すると、断裁時に切れてしまう可能性があります。
電話番号の最後の一桁が切れて読めなくなってしまった
対策:文字や重要な要素は仕上がり線より3mm以上内側に配置しましょう。
失敗例3:断裁位置がわからない
トンボがない、またはトンボの位置がずれていると、正確な断裁ができません。印刷会社から再入稿を求められることがあります。
データ不備で納期遅延...
対策:テンプレートを使用するか、正しい手順でトンボを作成しましょう。
「文字切れ」は意図的なデザインの場合もあるため、データチェックで不備として指摘されないことがあります。入稿前に必ず自分で確認してください。
6. 入稿前のチェックポイント
入稿前に以下のポイントを確認しましょう。
入稿前チェックリスト
- トンボは正しく作成されていますか?(Illustratorの場合)
- 塗り足しは上下左右に3mmありますか?
- 背景色・写真は塗り足し領域まで伸びていますか?
- 文字・ロゴは仕上がり線より3mm以上内側に配置されていますか?
- トンボを拡大・縮小していませんか?
- カラーモードはCMYKになっていますか?
- フォントはアウトライン化されていますか?(Illustratorの場合)
- 画像は埋め込みまたは同梱していますか?
- 解像度は300〜350dpi以上ありますか?
アイリィデザインでは、トンボ・塗り足し設定済みのテンプレートを無料でご用意しています。テンプレートを使えば、設定ミスを防いで確実に入稿できます。
7. アイリィデザインのテンプレートについて
アイリィデザインでは、お客様に安心してご入稿いただけるよう、各商品サイズのテンプレートを無料でご用意しています。
テンプレートの特徴
- トンボ設定済み:正確なトンボが配置されています
- 塗り足し領域を明示:3mmの塗り足し範囲がわかりやすく表示されています
- 文字配置の安全領域:仕上がり線より内側のガイドも設定済み
- Illustrator・Photoshop対応:.ai形式と.psd形式をご用意
まとめ:トンボと塗り足しの基本
- トンボ:印刷物の仕上がり位置(断裁位置)を示す目印
- 塗り足し:仕上がり線の外側に設ける3mmの余白領域
- 塗り足しの目的:断裁ズレで白フチが出るのを防ぐ
- Illustrator:「オブジェクト」→「トリムマークを作成」でトンボを作成
- Photoshop:仕上がりサイズ + 6mm でカンバスを作成
- 背景は塗り足しまで伸ばし、文字は仕上がり線より3mm以上内側に配置
- テンプレートを使えば設定ミスを防げます