グレースケールとは?モノクロ・白黒との違いを分かりやすく解説
更新日: 2026年2月6日 / カテゴリ: 印刷の基礎知識
印刷会社で15年以上働いていると、「グレースケールでお願いします」と「モノクロでお願いします」を同じ意味だと思っているお客様が結構いらっしゃるんですよね。正直なところ、私も入社当時は違いをよく分かっていませんでした。今回は、この2つの決定的な違いと、実際にあったトラブル事例も交えながら解説していきます。
そもそもグレースケールって何?
ぶっちゃけ、言葉だけ聞くと難しそうですよね。でも実はシンプルで、グレースケール(Grayscale)というのは、白から黒までの濃淡だけで画像を表現する方法のことなんです。
カラー写真をスマホで「モノクロ加工」したことありませんか?あれがまさにグレースケールです。色の情報を捨てて、明るさの情報だけを残しているわけですね。
白から黒まで256段階の濃さで表現できるので、写真のような滑らかなグラデーションが出せます。新聞の写真や、モノクロの雑誌ページに使われているのもこれですね。
実際の階調はこんな感じ
見ての通り、黒から白まで滑らかにつながっていますよね。この「滑らかさ」がグレースケールの最大の特徴です。人の顔写真とか、風景写真をモノクロにしたとき、自然に見えるのはこの階調があるからなんですよ。
グレースケールとモノクロ、何が違うの?
「え、どっちも白黒でしょ?」って思いますよね。私も昔はそう思ってました。でも印刷の世界では、この2つはまったく別物なんです。
一番の違いは「中間の灰色があるかどうか」。グレースケールには灰色があって、モノクロ(2階調)には白と黒しかありません。
グレースケール
256段階の階調
滑らかなグラデーション
モノクロ(2階調)
白と黒の2色のみ
中間色なし
以前、お客様から「写真入りのチラシをモノクロで」というご注文をいただいたことがあります。確認せずに2階調のモノクロで進めてしまったところ、人物の顔が真っ黒か真っ白かのどちらかになってしまい、刷り直しになりました...。「モノクロ」という言葉だけで判断せず、写真の有無を確認することが大事だと痛感した出来事でしたね。
ひと目でわかる比較表
| 項目 | グレースケール | モノクロ(2階調) |
|---|---|---|
| 階調数 | 256段階(8bit) | 2段階(1bit) |
| 使える色 | 白・灰色・黒 | 白・黒のみ |
| グラデーション | 滑らかに表現できる | 無理(ディザで誤魔化すくらい) |
| ファイルサイズ | やや大きめ | 軽い |
| 向いている用途 | 写真・イラスト・図版 | 文字・線画・ロゴ・QRコード |
| 仕上がり | 自然な感じ | シャープだけど階調なし |
写真やイラストが入るならグレースケール。文字やロゴだけ、あるいはQRコードを入れるならモノクロ。これだけ覚えておけば、まず間違いありません。
どんな場面で使い分ける?
正直なところ、「カラー印刷は高いからモノクロで」というお客様は多いです。でもグレースケールを上手く使えば、コストを抑えながらも写真をきれいに見せられるんですよね。
新聞・雑誌
モノクロページでも写真が自然に見えるのはグレースケールのおかげ
書籍・文庫本
挿絵や図版入りの本文ページに。小説の挿絵なんかにもよく使います
社内資料・コピー
モノクロコピーで写真資料を配るときはグレースケールが見やすい
イラスト・マンガ
水墨画風の表現や、トーンを使わない陰影表現に
スキャン文書
古い写真や書類のデジタル保存。カラーより軽く、モノクロより綺麗
アート写真
クラシックな雰囲気を出したいときの写真作品に
コスト面でも実はお得
グレースケール印刷は黒インク1色だけで刷れるので、4色カラーと比べると半額近くまでコストを下げられるケースもあります。「カラーは予算的に厳しいけど、写真は入れたい」というときには本当におすすめですね。
4色カラー印刷を100とすると、グレースケール(1色)印刷は40〜60くらい。もちろん部数や用紙によって変わりますが、かなりの節約になりますよ。
グレースケールへの変換方法
「データをグレースケールにしてください」と言われて困った経験、ありませんか?実は操作自体はそんなに難しくないんです。アプリ別に説明しますね。
Photoshopの場合
メニューから変換
上のメニューバーから順番にクリックしていくだけです。
確認ダイアログで「破棄」を選択
「カラー情報を破棄しますか?」と聞かれるので「破棄」をクリック。これで変換完了です。
※一度変換すると元に戻せないので、念のため元データは別名で保存しておくと安心です
変換したら最後、カラーには戻せません。私も若い頃、うっかり上書き保存してしまって青ざめたことがあります...。変換前に必ず別名保存、これ鉄則です。
Illustratorの場合
変換したいオブジェクトを選ぶ
全部まとめて変換するならCtrl+A(Macは Cmd+A)で全選択しちゃいましょう。
メニューから変換
Wordでもできる?
できます!ただし「グレースケール」というメニューはないので、彩度を0にして対応します。画像を選択して「図の形式」タブから「色」をクリック、彩度0%を選べばOKです。
ただ正直なところ、印刷入稿用のデータを作るならPhotoshopかIllustratorで変換するのがベストです。Wordだとファイル形式の問題で、印刷時にトラブルになることもあるので...。
RGBのまま入稿すると、印刷機側で勝手に変換されて色味が変わることがあります。Photoshopで「グレースケール」モードに変換してから入稿すると、思った通りの仕上がりになりやすいですよ。
印刷で失敗しないためのコツ
長年この仕事をしていると、グレースケール絡みのトラブルって結構あるんですよね。よくある失敗パターンと対策をお伝えします。
カラーから変換すると「あれ?」ってなる
これが一番多いトラブルかもしれません。カラーの画像をグレースケールに変換すると、元の色によって濃さが変わるんです。特に赤と緑は変換後の濃度がほぼ同じになることがあって、グラフなんかで色分けしていると見分けがつかなくなります。
円グラフをグレースケールに変換したら、赤と緑の部分がほぼ同じグレーになってしまって、どこがどの項目か分からなくなったことがあります。結局、パターン(斜線や点々)で区別し直しました。色で区別している図表は要注意ですね。
薄いグレーは印刷で消える
デザイン上は見えていても、実際に印刷すると10%以下の薄いグレーはほぼ消えます。背景にうっすら入れたつもりが、刷ってみたら真っ白...なんてことも。
背景に色を入れるなら最低15%、細い線や小さい文字なら30%以上は欲しいところです。
RGBグレーとCMYKグレーは別物
ちょっと専門的な話になりますが、パソコンで見ているグレー(RGB)と印刷のグレー(CMYK)は微妙に違います。
| 項目 | RGBグレースケール | CMYKグレースケール(K版) |
|---|---|---|
| 仕組み | R=G=B の等しい値 | K(黒)だけで表現 |
| 印刷時 | 変換処理が必要 | そのまま刷れる |
| 色味 | 変換でちょっと変わることも | 純粋な黒〜白 |
印刷用のデータは、Photoshopで「イメージ」→「モード」→「グレースケール」に変換してから入稿。これで印刷機との相性問題はほぼ回避できます。
お客様からよくいただく質問
この記事のポイント
長くなりましたが、覚えておいてほしいのはこれだけです。
グレースケールは256段階の濃淡があるので写真向き。モノクロは白と黒だけなので文字やロゴ向き。
写真入りの印刷物で「モノクロで」と言われたら、「グレースケールですか?2階調のモノクロですか?」と確認する。これだけで印刷トラブルの大半は防げます。
データを入稿するときは、Photoshopで「グレースケール」モードに変換しておくと、思った通りの仕上がりになりやすいですよ。